よくある質問（FAQ）

10カ所あった収容所の多くは、連邦政府管轄の砂漠や湿地帯などの、人里離れて隔離された場所に位置しました。居住施設に加え、病院、郵便局、学校、倉庫、事務所、工場を備え、独立したコミュニティーとして設計されたものです。周囲には見張り台が置かれ、有刺鉄線が収容所を包囲していました。碁盤の目で仕切られた各ブロックには、10件から14件の防水タール紙で覆われたバラック小屋、食堂、洗面所、洗濯場、リクレーションホールがあります。家具は裸電球一個と、軍用簡易ベッド、石炭、ガスまたは薪ストーブだけでした。

大戦中、12万人以上の日本人と日系人が、裁判で裁かれることもないままにアメリカ各地の収容所に送られました。

3分の2近くが、アメリカで生れたアメリカ市民でした。日本から移住してきた一世は、当時アメリカの市民権を取得することを許されていなかったため日本国籍のみ、アメリカで生れた二世の中には、日米両国籍を保持している人もいました。

1942年にルーズベルト大統領は、大統領令9066号に署名しました。これによって、陸軍省は軍事地域を指定し、その地域からいかなる人物でも排除できるという権限を与えられたのです。西部国防司令官のジョン　デウィット将軍は、100件以上の軍命令を発布しましたが、このすべては、アメリカ西海岸に在住する日本人と日系人だけに向けらました。

当時ハワイに在住していた15万人の日本人、日系人は、一部を除き立退きや強制収容の対象となりませんでした。真珠湾攻撃の直後、ハワイでの司令官となったデロス・エモンズ将軍は、一世と二世を、忠実なアメリカ市民であるととらえていました。数多くの日系人スパイがいるとの作り話が飛び交うなか、将軍は抗日派による日系人のハワイからの排除の要請を拒否し続けました。日系アメリカ人による、スパイ行為や妨害行為の証拠がどこにもないと認識していたのです。

日本人の血を引いた人達が排除、立ち退き、強制収容を強いられたのに対して、ドイツとイタリアの血を引く人達は、集団で収容されることはありませんでした。ドイツ系、イタリア系は、当時アメリカ国内で最も多数を占める移民でした。アジア人に対する偏見に加え、ドイツ系、イタリア系の大多数は既にアメリカ市民権を取得していおり、市民権取得を許されていなかった日本からの移民より、アメリカ社会に溶け込んでいたことも理由としてあげられます。

日本人または日系人が、スパイ行為を行ったり、アメリカ軍の活動を妨害したりしているとの風評が流れ、政治家やマスコミの中にも、これを吹聴する者もいました。しかし実際にそのような活動がなされた証拠はありません。

第二次世界大戦中、スパイ行為や妨害行為で有罪判決を受けた日本人及び日系人は一人もいません。

第二次世界大戦中、約3万3千人の二世男女が、アメリカ軍に入隊して戦線で戦い、また通訳などの任務を果しました。二世兵士達は、政府によって親が強制収容所 に監禁されている中、自分達の生まれた国のために生命の危険を犯すことで、忠実なアメリカ市民として日系アメリカ人のイメージの回復に大き な役割を果たしました。

第442連隊戦闘軍（442nd Regimental Combat Team）は、ルーズベルト政権が、日系アメリカ人も国のために戦場に行くことが許されるべきだとし、1943年3月23日に編成されました。アメリカ合衆国旧陸軍省が、当初日本人の血を引いたアメリカ人を敵国外人とした時から、一年以上を経ていました。ハワイからの日系召集兵から成る第100歩兵大隊（100th Infantry Battalion）に強化され、第442連隊戦闘軍は、その規模と戦闘期間において、アメリカ史上最も勲章を受けた部隊となりました。

政府にかせられた夜間外出禁止令と排除命令に 対し、ゴードン・ヒラバヤシ、ミノル・ヤスイ、フレッド・コレマツ、ミツエ・エンドウの４者は訴訟を起こし、アメリカ最高裁判所での審議に至りました。 初めの３者は政府の命令を無視したとして有罪判決を受けます。エンドウ氏の訴訟は、後に収容所の閉鎖につながったものの、裁判所はこのような強制収容が違 法であるとは認めませんでした。

1945年の初めから、アメリカ西海岸地域は、日系人の帰還の受け入れを始めます。収容者の大部分は、周囲の人種差別や脅迫などにもかかわらず、自分達の土地へと帰って行きました。教会の地下や隣人に託していた家財道具や所持品が、紛失していたこともあります。自宅や農地が荒らされ、放置され、横取りされていることもしばしばでした。多くの日系人は、収容所に監禁されていたことも痛ましいものながら、政府から支給されたわずか25ドルと片道切符を手に、開放後いちからやり直すことは、それ以上に困難なものだったと語ります。

1960年後半に戦時中の強制収容の正当性を問う運動が始まり、1983年には、市民戦争時転住・抑留に関する委員会 は、日系人収容は軍事的必要性によるものではなく、人種偏見、戦時中の根拠のない疑心暗鬼、政治的指導の誤りによるものだとする報告書が提出されました。1988年、アメリカ議会は市民自由法を可決し、ロナルド・レーガン大統領がこれに署名しました。この法律は大統領令9066号による強制収容に対しての謝罪と賠償を義務付けるものです。その２年後、ブッシュ大統領によって初めての公式謝罪と最年長の存命者達に対しての２万ドルの賠償金が支払われました。